もぐらのベースメント・ノート

ギター、音楽、その他

ショートスケール・ギターのすすめ③

一般的には、スケール610mm以下をショートスケールという。

ただ、クラシックギターなどでは、630mmでもショートスケールということもあるのでややこしい。

スケール540mmほどのテルツギターや、480mmほどのピッコロギターやギタレレなど超ショートスケールのギターもあるが、そういったギターはチューニングを上げて使用することを想定して作られたギターだ。

「ショートスケール・ギターのすすめ」では、スタンダード・チューニングでの使用を想定した570mm〜610mmのショートスケール・ギターを中心に取り上げる。

普通はスケールが短くなると、その分ボディも小さく作ることになる。だから、ショートスケールのギターはミニギターということがほとんどである。

Gibson ES-350TやByrdlandのように、17インチのデカいボディに600mmのショートスケールなんていう意味不明のギターもあるが…

Gibson ES-140 3/4(左) Fender Musicmaster(中) Gibson Les Paul Jr 3/4(右)

Gretsch 6115 Rambler(左) Guild M-65 3/4 Freshman(右)



1950年代に、ギブソンフェンダーといったギター・メーカーがスチューデント・モデルとしてスケール570mmほどのギターを作り出した。

スリークォーター(3/4)とよばれるギター達だが、スケールが3/4サイズのわけではない。

古くは1930年代の終わりに作られたGibson L-00 3/4というギターもある。

Collings Baby 2HとGibson L-00 3/4(1938年製?)スケールは違うがよく似たボディサイズ

近年、エド・シーランがLowden WL(610mm)を使ったり、Taylor GS Mini(600mm)が2010年夏の発売以来400,000本も出荷されているほど人気が出たりと、ショートスケール・ギターやミニギターの認知度も高くなっている。

ショートスケール・ギターのすすめ②

スタンダードなギター(スケール628mm〜645mm)を弾くのがキツいという場合、2つの対処法がある。と思う…たぶん

① 常にカポを2フレットにつけて弾く。

キーが変わってしまうので、ソロギターでしか使えないけど、格段に弾きやすくなる。ただ、ナット部よりネックは太くなるので、グリップはしにくい。

20年ほど前に出た打田十紀夫の教則本ラグタイム・ギター」の模範演奏CDは、全てカポ2で弾いている。プロでもこういうことするんだなと自分も倣ってカポ2で弾いていた。

2フレット無駄になるので、14フレットジョイントでも12フレットジョイントと同じという…カッタウェイがあるギターの方がいいと思う。

 

② ショートスケール・ギターを弾く。

①と違って、アンサンブルでも使えるし、立って弾く場合も弾きやすい。多少音は犠牲になるかもしれないが、弾きやすさを優先するならベストだと思う。

次に見た目の違和感の原因を考えたいと思う。

見た目なんか演奏に関係ないという人もいるだろうが、それは違うと思う。見た目に違和感があるという事は無理をして弾いているわけだから、プレイにも大きな影響があるのは当たり前のことだ。

結局分かったことは、ボディの大きさよりむしろスケールの長さの方が違和感の原因だということだ。

「ショートスケール・ギターのすすめ①」で書いたポール・サイモンの件も、ストラトのボディなんて小さいのでボディサイズというよりロングスケール(645mm)の方が問題なのだ。

そこで、ショートスケールのギターを弾けばいいということになる。

ショートスケール・ギターのすすめ①

身長が低いのにデカいギターを抱えている人がいるが、弾きにくそうだし不釣り合いだ…といつも思う。とくに立って弾いている時にそう思う。座って弾いている場合は比較的違和感はない。

ギターといえばこの形、この音がスタンダードっていう刷り込みもあるのだろう。Martin D-28、Gibson J-45やLes Paul、Fender TelecasterやStratocasterなどはスタンダードなギターだが、身長160cm以下の体の小さい人にとっては大きく感じるギターばかりだ。

自分もショートスケールのギターを使い始めたのは10年ほど前からだ。それまでは上記のような「普通」のギターを無理して使っていた。

以下のリンクの記事にマーチンDタイプ(しかも12弦…)を持つポール・サイモンの写真が載っているので見てほしい。

https://www.sonymusic.co.jp/artist/PaulSimon/info/484392

違和感があるのではないだろうか?

もちろん、ポール・サイモンはギターが上手い。

うまく弾けているんだからいいじゃないかと言われればそれまでだが。

20歳のころ、サイモン&ガーファンクルのセントラル・パークのコンサート(1981年)のライブビデオを手に入れ、素晴らしいので何度も見た。

そこでポール・サイモンストラトキャスターを弾く曲があるのだが、これほどストラトが似合わない人もいないな…と当時思ったものだ。

後にこの違和感の原因を探ることになる。

 

追悼 ロビー・ロバートソン

Yahoo!ニュースのトップに「The Band」ロバートソン死去のニュースが…

とうとうザ・バンドのメンバーもガース・ハドソンのみになってしまった。

ロビーといえば、ロイ・ブキャナンから影響を受けたピッキングハーモニクスを効かせたギタープレイが語られることが多いが、まあ何だって弾けるギタリストだ。

あのエリック・クラプトンだってロビーに憧れ、ザ・バンドに本気で加入したいと思っていたそうだ。

ボブ・ディランの1966年ライブや「ザ・ベースメント・テープス」での演奏など、ザ・バンドのアルバム以外のプレイも好きだ。

「ラスト・ワルツ」のIt Makes No Differenceのギターソロは何度も聴きたくなるくらい最高だ。

今日は追悼の意味を込めてこれを着よう。

今はなきブートレガーズのTシャツ。よくぞ作ってくれたと思う。

Martin 7-28(1981年製)

ギターを弾き始めて27年、延べ200本近くのギターを手にしてきた。

もちろん、買っては売ってを繰り返しているので、手元にあるのは15本ほど。

その中の一本、メインギターのMartin 7-28(1981年製)。

5年ほど前に手に入れたのだが、もっと早く出会いたかった。

アコースティックギターのスタンダードMartin D-28と似ているが、大きさはずいぶん違う。

D-28のボディ幅397mm、スケール645mm、ナット幅43mmに対して、7-28はボディ幅348mm、スケール583mm、ナット幅41mmとかなり小さい。

 Martin Size7はドレッドノートの7/8という意味だ。ただ、スケールは7/8にすると564mmとかなり短くなるので、29/32の585mmになっている。ボディ幅は7/8(28/32)で348mmである。

普通ブリッジ下の斜めのブレーシングは2本だが、ボディが小さいからか、Martin Size5と同じように1本しかない。

はっきりとは覚えていないが、マーチンがSize7を設計した経緯をどこかのサイトで見たことがある。

それによると、マーチンの社長か誰かが、体の小さい日本人がDサイズを弾いているのを見て、弾きにくそう…と思って作ったらしい。

真偽のほどはわからないが、この手のギターによくあるスチューデント・モデル(子供向け)としてではなく、身長の低い大人向けに作られたモデルなんだろう。

たしかに、いわゆるミニギターのサイズにしては、低音も他のミニギターとは比べものにならないほど出るし、音量も普通のギターとほぼ変わらない。

マーチンが本気で作ったミニギターだ。

同時期に作られた7-37K(写真右)もいいギターだった。

Pet Sounds (The Beach Boys)

一番好きなアルバム「ペット・サウンズ」

夏の夕方に聴きたくなる。

そうやって、飽きもせず、もう20年近く毎年聴いている。

自分の中で、これよりいいと思える音楽は、この先もう出てこないだろうな。

このアルバム、これまで何枚買ったんだろう。

3枚はプレゼントしたはずだ(しかも子供…)。

このアルバムの良さが分かる大人になってるといいなあ。

良さがわかりにくいと言われたりしているが、自分はわりとすぐにハマった。

兄と見に行ったAct Against AIDS 2000(パシフィコ横浜)の桑田佳祐のライブで「God Only Knows」をカバーしていて、それもこのアルバムへの入り口になったはずだ。

20代でこの音楽に出会えたのは幸運だった。

ジム・フジーリの解説本の訳者あとがきで、村上春樹はこう書いている。

「世の中には二種類の人間がいる。『ペット・サウンズ』を好きな人と、好きじゃない人だ」

好きな方で良かった。